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数学の勉強法

1.数学の勉強は暗記型?理解型?

  大学受験数学に関する話ですが、再受験をするにあたって私はこの科目に一年間頭を悩まされました。
 どのような勉強法を実行したら最も効率が良いのか、という答えを数学ではなかなか出せずにいたのです。

 一般に世の中で言われている数学の勉強法には大きく分けて、

 @暗記型・・・解けなかったら解答の解法を暗記し、パターンを覚えればよい
 A理解型・・・問題の意味、解答の意味をじっくり考えて理解する

というように、数学の勉強方法として大別すると2通りのやり方があるといわれており、賛否両論あります。
実は、この分け方自体、各個人によって少しずつ意味が違ってきています。

 私は、昔の現役高校時代は何も疑わず、数学はしっかり理解していこうとしていました。復習もおろそかにしていたので同じ問題を久しぶりに解いても解けなくて、またじっくり理解をして・・・ということを繰り返していました。当時を振り返ると、数学の基礎力はつきましたが、数学の十分な演習をするだけの時間がとれず、受験レベルになると苦労し、あまり得意とはいえないレベルでした。

 そして、このたび再受験するにあたって、数学ではどうすれば時間を有効に使えるかを考えました。
その中で自分が出した答えは、解法パターンを暗記すればよい、という考えでした。いわゆる@暗記型です。

それ以降@暗記型の方法として、すぐに解答を見てさっさと次へ、というやり方を行いました。

 実際この方法で、青チャート数学の例題すべてこなしました。

 確かに数多くの設問にあたることができて、数学の基礎力はつきました。

 しかし、もうちょっとつっこんだ考え方をした方がいいのではないか、ということにそこで気付きはじめました。

 入試レベルの数学の問題となると、解けないのです。

 パターンをインプットしたつもりでも、類似の問題がでたときに、同様の解法が使えることに気付かない、という現象です。つまり、全く同じ問題のみ解ける、という状態です。

 @暗記型という方法は、かの有名な和田秀樹氏も『数学は暗記だ−受かる青チャートの使い方』という本などで薦めている方法なのですが、私はなるほど数学では解法を覚えるのか、と解釈し、なるべく時間を使わずに覚えたのですが、その本当の意味を正しく理解できてなかったことにそのとき気付きました。


 つまり、この「暗記」という言葉がクセモノで、人によってやり方が違うのではないかと思うようになりました。
 極端に言えば、「暗記」と聞いて、それこそ枕草子の冒頭を暗記するように、一字一句、内容も考えずに暗記しようとする人もいる、ということです。
 このやり方では、効率が良いわけがないということはわかると思います。

 そう考えると、我々が解法を「暗記」しようとするときにも、多かれ少なかれ数学の「理解」がともなっていることに気付きます。
 そして、和田氏の述べている「暗記」という言葉も、この「理解」が必要であることが読み返してみるとわかります。つまり、

1.問題を読んで、何を聞いているのか、どういうことを言っているのかをよく考える。
2.その問題を解くためにどういう方法があるかを考える。
3.解けなかったら、解答を見て、どういう方法を用いているのかをみて、なぜその方法を用いるのかを考える。
4.上記1〜3をふまえてもう一度自分で解答を導いてみる。


というプロセスをとるべきだ、と思いました。

「数学なんて暗記で十分だ」と言って、実際に数学で良い点数をとっている人も、このようなプロセスを無意識のうちにたどっている、ということが考えられます。
結局数学では、@暗記A理解も境界がないのではないか、という結論に私は達しました。

言うならば、「理解の記憶」が必要ということです。




 ここで、具体的な話を書きます。

 例えば、数学Bでの数列の問題で、

    <第n項までの和Sが3n(n+5) で表されるとき、数列{an}を求めよ。>

というオーソドックスな問題があったとします。
 このくらいのレベルの問題は学校の教科書にも載っているので、すぐに解ける人が多いと思います。
 しかし、同じ数列問題が解ける人でも、本当に理解できている人と、ただ単に暗記で覚えている人とでは、その後の数列の応用問題が解けるかどうかに、大きく差がでてくることになり、ひいては数列、そして数学が得意になるか、不得意になるかの分かれ目になる可能性もあります。

 この問題の解答の手順としては、n≧2のときan=Sn-Sn-1=6n+12 の等差数列となり、n=1のときもあてはまる、という解答となります。
 しかし、以下のことを理解できてるでしょうか。

1.なぜ、Sn-Sn-1を計算すればanがでるのか?
2.S
nがnの2次式であったものがanではnの1次式となっている意味とは?

 まず、1.ですが、Sn = a1+a2+…an-1+an
            Sn-1=a1+a2+…an-1
であり、SnはSn-1anを足したものになる、つまり、Sn-1+an=Snとなるために、Sn-Sn-1を計算すればanがでるということです。このことは、数学の教科書にも、証明、定義として載っていると思います。

そして、2.ですが、これは、数列と関数の相関を理解できているかどうかです。つまり、an=6n+12というのは、y=6x+12という実数の関数の中の、x=1,2,…,nという自然数部分だけをとりだしたとびとびの特殊な関数にすぎない、という理解です。
 そしてSn-Sn-1というのは2次式の関数の微小な差、つまり実数関数における微分に相当することになります。よって、nの2次式が1次式になるのは当然といえば当然ということになります。
 ただし、数列ではとびとびの関数で、本当に微小極限を求めているわけではないので、単純にn=xに置き換えて微分した答えとは異なります。
しかし、この概念をつかんでいる人は少々ひねった数学の問題をだされても、対応しやすくなります。
(例えばこちらの問題、解答(1)・解答(2))   ※pdfファイルが開けない人はこちらの画像  問題、解答(1)・解答(2)@ A

ところが、公式として、an=Sn-Sn-1にあてはめればいいんだ、とだけ覚えている人は、それ以上の応用がきかなくなる可能性があります。

このように、ある公式があったとして、その定義や証明方法を理解できている人と、公式を丸覚えする人とで、大きく数学の実力に差がでてくることとなり、定義もおろそかにできないことがわかります。



2. 数学の勉強の手順

 次に実際に数学の勉強の手順を書いてみます。

 数学の勉強は基本的に問題集を使います。
 そして解いていくわけですが、ここで設問を見て、分かりきった設問はさっさととばして、分からない設問、あいまいな設問についてじっくりやります。

 分かりきった設問については、頭の中で「こうして、こうやれば解ける」という手順だけ頭に浮かべた後、解答をみてあっているかどうかを確認します。
 こうすれば1分以内に終わらせることができ、無駄な時間を省けます。

 次に、あいまいな設問についてですが、解けそうだと思うようなものは、上のように「こうして、こうやれば解ける」という手順だけ頭に浮かべた後、解答をみるわけですが、頭に浮かべるだけでは自信が持てないときは、実際に手で過程を書いてみて、終わったら解答と比べます。

 そして、みても分からない設問ですが、時間短縮のためにすぐに解答を見る、といいたいところですが、その前にやらなければいけないことがあります。
 まず、その設問が何を問うているのか?、自分が理解できないのはどこなのか?、を明確にした上で解答を見ます。
 そして、解答を見て理解できれば、そこで次、ではなく、もう一度振り返って、なぜ解けなかったのかを掘り下げます。
 つまり、何に気付かなかったから解けなかったのか?、なぜ気付くことができなかったのか?、どういう思考回路が必要だったのか?、などを考えます。

 このように考える時間は決して無駄になりません。
 記憶の定着に大きく貢献しますし、ほかの設問でも、類似の考えを必要とするものがあれば、解けることもあります。つまり、1つの問題で、同様の考えを必要とする問題についても何問もやったことと同じとなり、「一粒で何度もおいしい」となるのです。

逆にこのように考えることを怠って、分からなければすぐ解答を見て、うわべだけ理解したらその解法を覚える、というやり方を行うと、何回復習しても忘れている、という現象が起き得ますし、応用力もつきません。
 これは半年間このやり方を実践していた自分自身の反省点でもあります。



3.数学の勉強時間の短縮の仕方

 上にも時間の短縮について少し書きましたが、この意識は非常に重要になってきます。
 そして、普段の勉強で数学を解く上で、最も削るべき時間は計算に要する時間です。
 私は、基本的に、あとは単なる計算をすれば答えが出る、というところまでやれば、計算をいちいちする必要がないと考えています。

「でも、計算を普段からしていないと計算力が落ち、計算力がないとミスをして点を失うんじゃないの?」と思うかもしれません。
 たしかに、センター試験などの答えだけを求めるような問題については、ちょっとした計算ミスが大ダメージにつながり、計算力が重要であることは疑いありません。
 しかし、だからといって、普段の数学の勉強で全ての問題を解く際に、最後の計算まで書きながら解いていては、それこそ時間がなくなり、もっと大事な考えることに時間を割けなくなりますし、より数多くの問題にあたることもできなくなります。
 これでは、入試本番においても、計算は自信あるけど解き方が分からない、という本末転倒な結果となりかねません。
 記述式の入試であれば、「最後の計算ミスで失う点」は少なくてすみますが、「解法が分からなくて失う点」は大きいです。数学が得意で満点を逃すのはいつも計算ミスだ、という人は最後のツメとして計算力を磨くのもアリですがそうでない人は、もっと優先順位を考えた方がいいと思います。

 実際に記述で解答を作っていくと、計算に要する時間は全体の半分ぐらいを占めることが多くなります。
 つまり、この時間を省略することで、同じ時間内に倍の問題数にあたることができる勘定になります。
 また、上に書いたように、設問を見て、こういう解法だな、と分かる問題についても、その過程を頭に浮かべるだけで、答えをみて確認する、という方法を使うことによってもさらに時間を短縮できます。
 このように、受験生に公平に与えられた限られた時間をいかに有益に使うかを常に考えることが必要です。

 ・・・と、書いてみたものの、やはり、計算をすることなく過ごす日々が続けば、だんだん計算力も落ちてくることも事実です。
ですから、例えば10問に1問、計算までやってみて、計算力を確かめる、というような工夫をするなどすればよいのではないかと思います。そこで、ミスをしていたら、どこでミスをしたのかを分析して、二度と同じミスをしないようにして、計算力を維持するとよいと思います。



 ベクトル問題の解き方




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